「いびき」と「睡眠時無呼吸症候群」

睡眠といえば、すぐ頭に浮かぶのが夢といびきだと思われます。たいへん豪快な感じのするいびきも種々の障がいを引き起こしたり、その症状を悪化させることもわかってきました。

そこで近年、睡眠時の呼吸障がいが注目されるようになってきましたが、なかでも睡眠中に無呼吸を断続的にくり返す睡眠時無呼吸症候群(SAS)、とくに上気道閉塞型の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は重大な疾患のひきがねになる可能性も指摘されています。

SASは最近マスコミ等の影響も有り社会的な問題になりつつあります。SASにより日中に眠気が起こるため、交通事故発生率が増加したり、また勤務中の居眠り、注意力の散漫、決断力の低下などによる仕事の効率低下を含んだ社会への影響に加え、働き盛りに見られる心血管系の合併や死亡率の増加などを代表するさまざまな障がいがあり今後さらに患者が増加すると考えられています。


原因や症状は多岐にわたっていて、診断や治療に際していろいろな試みがなされています。
病因に関与する因子をまとめると以下のようになります。

  1. 形態学的異常
    1. 肥満:  上気道への脂肪沈着
    2. 顎形態異常:   小下顎症 下顎後退症 顎骨の破壊(リュウマチ) 
    3. 咽喉頭異常: アデノイド 扁桃肥大
    4. 鼻疾患:  鼻中隔湾曲症 慢性副鼻腔炎 鼻ポリープ
    5. 睡眠体位:  仰臥位による舌根沈下
  2. 機能的異常
    1. 上気道筋の活動性低下:  低酸素血症 高炭酸ガス血症 アルコール 睡眠薬・鎮静薬
    2. 上気道のうっ血
    3. 上気道粘膜の癒着性増加
    4. 換気調節機構の異常:  低酸素換気応答異常 高酸素ガス換気応答異常
    5. 性ホルモン: 男性ホルモン 女性ホルモンの不足

治療方法としては下記のものがあります。

  1. 一般的治療
    1. 肥満に対する減量
    2. 寝前の禁酒禁煙
    3. 睡眠体位の是正
    4. 睡眠薬などの制限
    5. 規則正しい生活
  2. 専門的治療
    1. 外科療法
    2. 持続的気道陽圧法
    3. 歯科装置(スリープスプリント)
    4. その他(薬物療法など)

噛み合わせと肩こり

「噛み合わせ」によって「肩こり」が生じることをご存じでしょうか。
人は何か物を噛む時、下あごと上あごを結び付けている筋肉によって下あごが引き上げられます。また、背骨とあごが別の筋肉によって結びついています。これらの筋肉が、今までとは違う動きが生じた時、それが「ストレス」となって蓄積され、「肩こり」となって現れます。大きな「ムシ歯」があると反対側で物を噛んだり、歯周病で物が噛みづらかったり、歯が無くて(欠損)義歯やブリッジが入っていなかったり、入っていても噛み合わせが合ってなかったり、もちろん歯並びの悪い人や歯ぎしりをする人、あごの関節がおかしい人など、噛み合わせのバランスが崩れるような歯の病気で、「肩こり」になることがあります。
「噛み合わせ」が悪いからといって、全て「肩こり」と結びつくものではありませんが、あらゆる治療を試してみて、「肩こり」が治らない場合は、一度歯科医に相談してみてはいかがでしょうか?

摂食・嚥下リハビリテーションとは

「摂食・嚥下障がい」という言葉を聞いたことがありますか。
摂食とは、飲食物を口の中に入れたり、咀嚼(噛み砕いて食べやすくすること)したりするです。嚥下とは飲み込むことです。つまり「摂食・嚥下障がい」とは、食べる能力に広くかかわる障がいのことをいうのです。今まで、ほとんどの歯科医は食べ物を咀嚼することだけを見てきました。歯科関係以外のほとんどの医療関係者は、栄養が十分に取り込まれれば良いと考えて、食べるということについて考えていませんでした。
病気や老化で自分で食事を取り込めなくなったとき、昔は死を待ち、一昔前からは流動食や点滴で命を永らえるようになって来ました。しかし、生きるだけの状態で幸福と言えるのだろうかという反省から、すべての医療従事者と介護職が協力し合って研究されてきたものが摂食・嚥下リハビリテーションと言うものです。

入れ歯を作ったり、歯を治したり、歯周病を治したりするのは、歯科医や歯科衛生士にしか出来ませんが、リハビリはいろいろな職種の人間がかかわります。 看護師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、 保健師、介護職、歯科衛生士、栄養士、医師、そして我々歯科 医師がそれぞれ、もしくは協力し合って、患者さんや家族の方とともに摂食・嚥下障がいに立ち向かい、少しでも充実した生活が送れるように努力していくものです。
嚥下障がいがあると、誤嚥と言って、気道の中に飲食物が入っていきます。口の中がばい菌だらけだと肺炎になることもあり、命取りになることもあります。初期の症状としては、むせる、のどがゼロゼロいう、飲み込みにくいなどと言うものです。もしも気になる症状がある、ある人が身近にいるという場合は、先ほどあげた職種の人に聞いてみてください。ただ、これらの職種の人たちがみんな摂食・嚥下リハビリが出来ると言うわけではありません。まだ歴史の浅い学問なのです。他の職種もそうですが、歯科医師も実践している者は多くありません。
現在歯科医師会ではそのネットワークを作ろうとしています。周りに相談できる人がいない場合は一度歯科医師会にご相談ください。

(下記のサイトに嚥下障がいに関する情報があります)
[嚥下障がい支援サイト Swallow]